U.K. Subs play Atelier des Moles, Montbéliard, France
LINE UP:
Charlie Harper
(vocals & harmonica)
Nicky Garratt – guitar
Alvin Gibbs – bass
Jamie Oliver – drums
All photographs* courtesy of Gemma Eggle (Libra Snake Photography).No copying of Gemma's work without permission.
* Apart from Nicky picture: courtesy of Miguel Conflict
Support: The Vibrators & Charge 69
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11/02/2011: Japanese Blog review of Work In Progress
The Japenese Blog-site "Hardasrock" has carried a review of the new studio album Work In Progress.
Check it out HERE
Archived below:
UK SUBS『Work In Progress』 2011.02.11
UKパンクの重鎮の最新作。
パンク・ムーヴメントに触発されて76年にロンドンで結成されたUK SUBSは、
それまでにも音楽キャリアを積んでいたとはいえ
チャーリー・ハーパー(vo)が32歳で始めたパンク・バンドだ。
年齢的に覚悟を決めていただけに止めることはない。
まさにパンク・ロックのゴッドファーザーである。
オフィシャル・サイトで一緒に映った近影も載っている“同志”MOTORHEADのレミーの一つ年上のはずだから今年66歳。
むろん新作も“年甲斐のないパンク・ロック”が健在で恐るべしである。
UK SUBSは編集盤やライヴ盤を多数リリースしているが、
バンド自身が“メイン・リリース”としているアルバムのタイトルには、
頭文字をアルファベット順に付けている。
たとえば、
アルファベットの最初は“A”ということでファーストは『Another Kind Of Blues』(79年)、
セカンドのタイトルは“B”から始まるフレーズの『Brand New Age』(80年)である。
“メイン・リリース”の中にはオリジナル・アルバムだけではなくライヴ盤なども含まれていて
(と同時にアルファベット順のタイトルと無関係のライヴ盤も出している)、
前作の『Violent World』(2005年)は既発表曲のリメイクがほとんどの擬似ライヴ盤だった。
本作はいわゆるオリジナル・アルバムとしては『Universal』(2002年)以来となるが、
UK SUBSの認定では23作目だ。
各国のツアーに即応できる体勢にしているためチャーリー以外のメンバー構成が柔軟なバンドである。
今回はここ何年か基本的に英国で活動しているメンバーでのレコーディングのようだ。
ベースは80年代後半にイギー・ポップのバンドでも弾いていたお馴染みのアルヴィン・ギブス。
ギターはお馴染みのオリジナル・メンバーのニッキー・ギャラットではなく、
ジャパニーズと思しき男性のジェット。
ドラマーも2000年代半ばからUK SUBSのメンバーの一人になっているジェイミー・オリヴァーだ。
各メンバー、実にイイ音を出してビシッ!としている。
『Universal』も手掛けていて今回もグッド・ジョブ!のプロデューサーが、
VIBRATORSのオリジナル・ベーシストのパット・コリアーなのも人間関係的にイイ話である。
作風もその時々のメンバーが関わることでアルバムによって多少変わるが、
年の差が離れたメンバーが揃ったことも功を奏して今回はかなりヴァラエティに富んでいる。
チャーリー中心の曲作りとはいえ、
今回の演奏者のアルヴィンとジェイミーも書いている。
3曲のソングライターとしてクレジットされている“Taniguchi”はギターのジェットのことだろうか。
『Work In Progress』が“最前線”の音とは言わない。
だが、つんのめる勢いの曲からまったりした曲まで、
パンク・ロック以外の何物でもない。
70年代スタイルのパンク・ロックでもなく、
80年代以降のハードコア・パンクでもなく、
アルバム・デビュー当時にその橋渡しをした
UK SUBS流パンク・ロックの2001年のアップデート・ヴァージョンだ。
チャーリーは2009年に日本で行なわれたパンク・イベントのMAGMAのステージにも登場したが、
ぼくはUK SUBSとしての目下唯一の日本ツアーである2006年のライヴを観て、
パンク・ロックの奥義に感動した。
パンク・ロックに対する誠意と言っても過言ではない。
UK SUBSは“パンク・ロック”という言葉の響きそのままだ。
「パンクはスピリット」という都合のいい言い訳の下にパンク・ロックを捨てた連中を尻目に、
「血を入れ替えてどうするんだい?(笑)」とばかりにパンク・ロックが血管を流れ続けている。
音そのものがパンク・ロックであり続けている。
パンク・ロックを背負っているとかいう重い使命感みたいなものはないだろうし、
しがみついていて頭が固くなったやつじゃない。
何よりUK SUBSがパンク・ロックをずっと楽しんでいることがわかるアルバムなのだ。
太いベースで演奏をリードしているアルヴィンのウェイトも大きい。
チャーリーのR&B趣味もチラリと顔を覗かせている。
L7~NASHVILLE PUSSYを思わせるヘヴィなロックンロール・チューンあり、
60年代のガール・ポップ調のメロディの曲あり、
一瞬CRAMPSも頭をよぎるサーフ~ロカビリー調の曲あり、
キャッチーでメロディアスなシンガロング・ナンバーあり。
SEX PISTOLS、HEARTBREAKERS、NEW YORK DOLLS、DEAD BOYSなどの、
パンク・ロックの名曲群を思わせるフレーズが聞こえてくるのも御愛嬌ってもんだ。
RANCID加入直前の91年にUK SUBSのメンバーだった、
ラーズ・フレデリクセンも1曲ソングライティングで参加。
シアトルのオリジナル・ガレージ・パンクの元祖である、
SONICSの「Strychnine」のカヴァーがハマっているのも本作のカラーを象徴する。
チャーリーの奥さんがジャパニーズ・ガール(20歳以上は年下に見える)ということも影響しているのか、
「Tokyo Rose」という曲もやっている。
STRAY CATSなどのアートワークで知られる
“ロックンロール・イラストレイター”のヴィンス・レイが描いたジャケットの、
16ページのブックレットに歌詞に添えられた画からはバッド・ボーイズ・ロックの香りも漂う。
そういう古典的なロックンロール・ソングも歌う一方でポリティカルな歌詞も同居しているが。
ぼくにはそういったことが自然に思える。
ブックレットの写真でチャーリーはアナーキスト系のAUS-ROTTENのTシャツを着て歌っているのも、
70年代からパンク・ロック~ハードコアへと脈々と続くオープン・マインドな生き証人ならではだ。
新しいことをやっているわけではないにもかかわらず古臭く聞こえない。
何より年季の入った侘び寂びがピリリッ!と効いたチャーリーの喉が鮮やかだからである。
2006年の来日時に行なったギグ会場の町田WEST VOXの楽屋におけるインタヴューの際、
サッポロ黒ラベルの缶ビール(500ml)をいきなり差し出してくれたチャーリーを思い出す。
パンク・ロックの素晴らしさを再認識させてくれたあのときのライヴも蘇る。
笑顔もチャーミングな気のイイおっちゃんだが、
ほんとカッコイイ。
長い時間話を聞いた限り決して無分別な人ではないが、
紳士的なほど大人気がないからこそ瑞々しい。
パンク・ロックの理想である。
『Work In Process』は“完成してない製品”とも訳せるが、
“進行中の作品”と解釈したいアルバム・タイトルは彼ら流のユーモアだ。
誤解を恐れずにいえばUK SUBSは完成度が高いアルバムとあまり縁がない。
だがそもそもパンク・ロックに完成形はない。
いつでも“進行中”。
それはすなわち停滞しないことの裏返しなのである。
★UK SUBS『Work In Progress』(CAPTAIN Oi! AHOY CD 310)CD
約41分14曲入り。
16ページのブックレット付。